「リバース・エンジニアリング」
あまり馴染みのない言葉ですよね?
リバース・エンジニアリングとは機械やプログラムなどの完成品を分解して仕組みや部品の図面を作成するという事で
主に製造業会で使われてきた言葉です。
音楽制作で言えば「完コピ」「完全コピー」になります。
最初に音楽制作をする道具がDAWになった近年では好きなバンドやアーティストの曲をコピーする機会が減っているように感じます。
いきなりオリジナル曲を作るのはおおいに結構なのですが
バンド活動であれば必ず通る道の"既存曲のコピー"をDTMではしない場合が多いようです。
今回は完コピのメリットについて書いていこうと思います。
ソルフェージュとは音を聞き取り音程やリズム、和音などを譜面にする事ですが
いわゆる"耳コピ"というものです。
実は結構難しくて沢山やっていかないとなかなか耳コピができなかったり
和音(コード)解析が難しかったりします。
何曲もやっていくうちにソルフェージュ能力が鍛えられていきます。
各パートの音の重なりや、その意味をより深く理解できるようになります。
ストリングスにシンセが足されているのが音の厚み補強のためだったり
このパートはどんな役割があるのか?という事を考えるようになります。
「こんな音入ってたんだ、、」など今まで聞こえなかった音の発見もあります。
パートが聞き取れて再現できた後はサウンドメイキングです。
いわゆるミックスという作業の事になります。
最初のうちはベースやドラムなど同じような音を選んだつもりでも
聴き比べると全然違う音になるでしょう。
それをどうやると近づくのか?どんな処理をしているのか?
EQやコンプで似せる事ができる場合もありますし、そもそも選んだ音が違う場合もあります。
ここからの作業はミックスを知っていかないとなかなかうまくいかないと思いますが
かならず糧になります。
コピーした曲で使われていたアレンジテクニック、サウンドメイキング、エフェクトの仕掛けなど
再現することができたものは自分のオリジナル曲の制作でも使えるテクニックになります。
こういう使える技を増やしていくことを"引き出しが増える"と言います。
頭ではわかっているつもりのテクニックも実際やってみるとなんかイメージと違ったりする場合も多く
やはり経験に勝るものはありませんので、どんどん吸収していきましょう。
アレンジ面でもサウンド面でも様々な曲を分析できると
必要(効果的)だと思う事、あまり必要でないと思う事など選んでいく能力が身につきます。
ここからはもうコピーという真似事ではないですね。
他にもよく使われる手法、例えばリバースシンバル+1拍ブレイクなどは
あまりにも使われすぎていてちょっと今回はやめておこうか、、という思考になる事もできますし
逆に コテコテの定番感を出そうとすれば採用しても良い場面もあります。
増やした引き出しをどう使っていくか?という事を考えられるようになります。
完コピを勧めておいてあれですが、、、
完コピを重ねて行くと2MIXの完成品を聴き込むだけでどんな構造で、どんな音を使っていて
どんなミックス処理をしているのか?などが理解できるようになってきます。
いわゆるプロの人達はこの状態ですので、完成された曲を聞くと何をしているのか?がだいたい分かります。
ここに至るまでの修行が完コピ作業だと思ってください。
それでも、何をしているのかわからない音も存在していて、結局は新たな修行が続くのが音楽制作です。
完コピしてみてできない音があったりすると、市販されている音源の知識やエフェクトやミックスの事も
勉強していく必要がでてきます。
作る音楽によっては楽器の知識や機材の知識、新しい音楽の知識も必要になるでしょう。
つまりは学ぶ世界が広がっていくのです。
最初は難しくて全然うまくいかないと思いますが必ずやる意味はあると私は考えます。
完コピ 試してみてください。
リバース・エンジニアリングの勧めの話でした。