「ミックス」と「サウンドメイキング」って何が違うの?
DAW(Digital Audio Workstation)を使って音楽を作り始めたばかりの方にとって、「ミックスに必要な処理」とか「サウンドメイキングをする」とか情報が出てきて「何が違うの?」となること、ありますよね。
これら二つの言葉、音楽制作においてはとっても大切な工程なんですが、実は役割が違います。今回は、この二つの違いを「料理」に例えながら、初心者さんでもわかりやすく解説していきたいと思います!
まず、音楽制作全体を「料理を作る」ことに例えてみましょう。
食材選び・下準備:どんな楽器の音を使うか、どんなメロディーやリズムにするか考える(作曲・アレンジ)
調理(本日のテーマ!):それぞれの音を美味しく仕上げる(サウンドメイキング)
盛り付け・味の調整(本日のテーマ!):すべての料理が一番美味しく感じられるように並べ、全体のバランスを整える(ミックス)
最後の仕上げ:最終的な音量調整や音圧調整(マスタリング)
こんな感じです。今回は、「調理」と「盛り付け・味の調整」にあたる「サウンドメイキング」と「ミックス」に焦点を当てていきますね。
「サウンドメイキング」は、一つ一つの音(楽器の音、ボーカルなど)を、あなたのイメージ通りに「美味しく調理」する工程です。
例えば、
「ドラムの音をもっとパワフルに響くようにしたいな」
「シンセサイザーの音がもっとキラキラした感じになったらいいな」
「ボーカルの声が、もっとクリアに、そして奥行きがあるように聴かせたいな」
そういった、それぞれの音そのものの「音色」や「質感」を調整するのがサウンドメイキングです。
料理で言うと、
肉を焼くときに、にんにくで味にパンチを出したり、焼き具合を調整したりする
野菜を煮込むときに、柔らかくしたり、味を染み込ませたりする
といったイメージです。
一方、「ミックス処理」は、個別に美味しく調理されたすべての音(楽器やボーカルなど)を、音楽として一番聴き心地が良いように「盛り付け」し、全体の「味を調整」する工程です。
想像してみてください。メインディッシュ、スープ、サラダ、デザート…と、一つ一つはとっても美味しい料理ができました。でも、これらをバラバラに並べたり、味や色味がケンカし合ったりしていたり、出す順番が間違っていたら、せっかくの料理も台無しですよね。
ミックスは、すべての音が必要なバランスで聴こえ、それぞれの音が役割を果たし、音楽全体が理想に近い状態で響くように調整することです。
料理で言うと、
それぞれの料理をどの位置に置いたら美しく見えるか、出す順番などを考える(配置)
味の濃い料理と薄い料理のバランスを調整する(音量バランス)
お皿の上でそれぞれの料理がぶつかり合わないように、スペースを確保する(音の分離)
といったイメージです。
例えば、しっかりと味付けをした肉料理につけあわせる野菜は味付けをせずに淡白な味にする。
野菜単品では味気ないのですが肉料理とあわせる前提なのでこちらのほうが良い。
といった具合に 単品だけで考えて作ってしまうのは味が濃すぎる料理になってしまいます。
Mix処理とサウンドメイキングを両方で考えながら作業していけるようになると良いでしょう。
今回ご紹介した「料理」の例えを頭の片隅に置きながら、ぜひサウンドメイキングとミックスの楽しさに触れてみてください。